2020年4月29日水曜日

良い練習、悪い練習とは?

皆様

今日もいい天気です。
しかし、巣ごもりは続く。

今日はコラムということで、「良い練習」と「悪い練習」を区別する視点について、私の考えを紹介します。

まず、次の式を見てください。
これが、私が考える練習の良し悪しの判断基準です。

              練習で間違えずに弾けた回数
本番でうまくいく確率 =                × 100
              練習で弾いた全ての回数
野球などの勝率計算と同じ数式です。

例えば、あるパッセージを10回弾いたとして、
途中で間違えた=×
間違えずに弾けた=○
で、
× × × × × ○ × × ○ ○
の場合、3÷10×100=30%
これは、ダメな練習です。
単純に考えて、本番で弾く時に70%の確率で間違えます。

本番でうまく行く確率は、限りなく100%であるべき。
つまり、練習で間違えてはいけないのです。

30%の彼が、奮起して、その後もう10回練習して、
× × × × × ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
と頑張った場合、13÷20×100=65%
はじめに7回間違えたのが影響して、挽回が大変です。

ここまで考えてみると、いくつかの疑問点が出てきます。
疑問①
100%至上主義であれば、
1回弾いて○とか、
3回弾いて○○○とかもアリなのか?

これは、常識的に考えてナシですね。
楽器の演奏など運動系の技術向上の背景には、筋肉や聴覚を司る神経回路の形成と強化があるはずです。それに練習回数が必要なのは自明。

では、練習は何回必要なのか?
これは、私も人に言えるような答えはありません。自分だけの直感的な答えはありますが。皆さんも考えてみて下さい。

疑問②
どうやれば、初めから間違えずに練習できるのか?
これは、いくつかの答えがあります。

まず、ゆっくり練習すること。
特に一番最初はテンポを守ることにもこだわらず、間違いそうになったら停まって、さらにゆっくり慎重に演奏を進めると、間違えることなく練習できます。
この方法は、誰でも知っているけど、実行するにはそれなりの努力が必要です。

他の方法は、練習箇所を短く分割すること。
例えば、この譜例。
運命1楽章1Vnの407小節からですが、結構な難所です。

ここを何も考えずに、いきなり初めから終いまで練習すると玉砕。
特定の箇所で何度もつっかえて、まるで本番で間違うために練習?している事態になってしまいます。

まず、単純に2小節ごとに分割し、初めの2小節を10回、次を10回…、というのが1案。
415小節からは特に難しいので、ゆっくり2小節ずつ、または1小節ずつ、などなど。

難所の練習に取り掛かる時は、いきなり突撃するのでなく、勝率を高める作戦を立ててから攻略しましょう。
これが大人というものです。

では皆様、ぜひ良い練習を。

2020年4月26日日曜日

リズム練習のすすめ -その2 -

皆様

リズム練習の続きです。
運命4楽章の第1バイオリン431小節からを用いて、リズム練習の例を動画にしてみました。

まずは、二連符系①から。

この練習では、くっついて演奏する2個の音符ごとに、左手の音程やポジション移動、右手の移弦などの細かいチェックができるのが特長です。やってみるとよくわかりますよ。

次に、二連符系②。

今度は、先の①と違う2個の音符がくっつくので、別の箇所のチェックができます。
どちらかというと今回のパッセージでは、②の方が難しいポイントが多いです。
例えば冒頭の2個は、A弦からG弦への移弦があって素早く弾くのは難しいし、最高音に到達する前のところのポジション移動が難しいなど、非常に細かいチェックができます。

続いて、四連符系。
これも4個ずつ音をくっつけて演奏する練習で、①〜④でくっつき方が変わるので、大変良い練習になります。
四連符系①

〃   ②

〃   ③

〃   ④


そして、完成。
あんまり上手ではありませんが、一応弾いてみました。


次に、同じ4楽章の676小節アウフタクトからのフレーズを使って、三連符系の練習方法を紹介します。
リズム練習と完成版が繋がった動画になっています。


三連符系のパターンは、例えば「マーラー2番、第3楽章1Vnの149小節」からのような六連符の難しいフレーズにも使えます(以下の譜例)。

リズム練習は、パターンさえ覚えれば、誰かに教えてもらわなくても自分でどんどん練習できます。
そして、この非常に単純な練習は速弾きだけでなく、様々な自分の奏法上の弱点を教えてくれる超スグレものなのです。
ぜひ、お試しください。

では。

2020年4月25日土曜日

リズム練習のすすめ

皆さん、こんにちは。
めっきり暖かくなった今日このごろ。
時々は、外の散歩もされていますでしょうか。

今日は、「リズム練習」についてです。
「リズム練習」って、ご存知ですか?
これは、どの楽器でも使える、「速弾き」の為のスモールステップ練習法です。

私たちヴァイオリンは、あらゆる楽曲の中で速弾きを要求されることが多いのですが、いかんせん多くのアマチュア奏者は大人になってから楽器を始めたので、そんなに速く指も弓も動かないのです。
例えば、今年の定期で演奏するベートーベンの「運命」にも、4楽章にこんな速弾きポイントが出てきます。(譜例1)
こういう所では、左手の指と右手の弓がずれる事案がしばしば(ほぼ必ず?)発生します。ここを譜面通り弾けると、スポーツカーを運転しているみたいで、本当に爽快なんですがねえ。

こういう時に、左と右をバッチリとマッチさせ、あたかもCDのようにカッコいい演奏をするのに効果を発揮するのが「リズム練習」です。

以下は、リズム練習のパターン譜です。

私が使うリズム練習の種類は、「二連符系」2パターン、「四連符系」4パターン、「三連符系」3パターン、計9種類。
他にもあるのかもしれませんが、とりあえずこれだけであらゆる曲に応用できます。
先の譜例1であれば、二連符系と四連符系のいずれでも練習できます。

同じ「運命4楽章」のこの様な箇所(譜例2)であれば、
三連符系のパターンで練習します。

明日は、譜例1、2のリズム練習動画をアップして、さらに説明します。
お楽しみに。
つづきはこちら。

2020年4月19日日曜日

弾き癖を治そう!逆弓こだわり練習

皆さん

動画の撮影や編集、YouTubeへの投稿環境などが整ったようなので、いよいよ「おうちdeスキルアップ」の本編を開始してみます。

まず、今回は二進法楽器である弦楽器に付きものの「弾きぐせ」克服編です。

弦楽器の人はピンとくると思いますが、弦楽器の弓づかいは「ダウンとアップ」の2種類で、やっかいなことに「ダウンは強く短く」なり易く、「アップは弱く長く」なりやすい傾向があります。極端にいうと「ター、ター」みたいになる。

これを「弾きぐせ」と言い、特に速い刻みや16分音符の動きがある曲などでは、上手に演奏できない大きな原因となります。
また、フレーズの初めは「ダウン」という強烈な固定観念と結びついて、表現の幅を狭める要因ともなっています。

これを克服する方法は、徹底した「逆弓練習」だと思います。
ということで、その練習方法を動画でいくつか紹介します。

その前に、動画で使っているヴァイオリン教則本を無料の楽譜サイト「imslp」からダウンロードしておきましょう。

36 Violin Studies, Op.20 (Kayser, Heinrich Ernst)

http://conquest.imslp.info/files/imglnks/usimg/e/e7/IMSLP32135-PMLP73098-Kayser_36_Studies_Op.20_for_Violin.pdf

ヴァイオリンの習い始めに必ず誰もが弾く「カイザーの教本」です。
PDFファイルの2ページの1番が今回の動画の練習曲です。
なお、ビオラのバージョンもあるようです。
http://conquest.imslp.info/files/imglnks/usimg/7/71/IMSLP576038-PMLP73098-Kayser_op-55.pdf

さて、楽譜が準備できたら、第1番を逆弓で弾いてみましょう。
演奏例は、以下の通り。

いかがですか?
結構、移弦が難しいと思います。
これを1週間程度、我慢して毎日1回やると、弾きぐせはかなり治ると思います。

もう少し難易度を上げて、上げ弓からの「2個刻みバージョン」です。

いかに自分が「下げ弓から始める」体になっているかがわかると思います。

さらに難易度を上げて、「4個刻みバージョン」です。

この3種類を、練習のたびにウォーミングアップとしてやれば、2〜3週間程度でボウイングがかなり楽になるとおもいます。
練習曲はカイザーだけでなく、手当たり次第なんでも。目に入る楽譜全て逆弓で弾く、ぐらいの勢いで。笑
私も、昔にこればっかりやっていた時期がありました。そのお陰で、今でもあまり逆弓が苦になりません。

最後に、調子に乗って「ゴセックのガボット」前半を全部逆弓でやって見ました。

よかったら挑戦してみて下さい。

では。

おうちでスキルアップしよう!

アマチュアオケを愛する皆様

新型コロナウイルスでアマオケ活動を制限され、練習の無い土日をゆったりと楽しむ気持ちも減ってきた今日この頃。いかがお過ごしでしょうか?

こんな時こそ、ピンチをチャンスに。
今こそ、「おうちでスキルアップ」してみませんか。
ということで、これから「家庭でできるヴァイオリンの基礎練習」のアイデアを少しずつアップしてみます。

ただし、ここで紹介するのは、これまで私なりに考えて実践してきた独自のアイデアです。
ですから、自分向けに特化された考え方で、異論のある方も多いかもしれません。
あくまで皆さん自身のスキルアップに向けたアイデアを湧かせる参考にしてくださればと思います。

どうしてもヴァイオリンの基礎練習が中心となりますが、スコアリーディングや楽譜の作り方など、他の楽器でも使えるアイデアも紹介したいと思います。
休みの日に少しづつしかアップできないので、ゆっくりしか進まないと思いますが、気長にお付き合いください。

今のところ、以下のようなコンテンツを考えています。
それでは、突然与えられた「コロナ巣ごもり」をチャンスに変えて、これまで以上に音楽を楽しめるように、みんなで進んでいきましょう。

考えているコンテンツ(増えたり減ったり変わったりすると思いますが)
【右手編】
弾き癖を治す逆弓こだわり練習
右手の指の柔軟性を養う
先弓の感覚を養う
弓速を変化させる
弓圧を変化させる
一気の全弓とリテイク
移弦
跳ね弓
刻み、トレモロ
右手の親指の感覚を養う

【左手編】
左手のフレームを作る
音階練習
ポジション移動(シフティング)
ビブラート
トリル
いきなりのハイポジション
拡大

【エチュード紹介】
フレッシュ音階教本
カイザー
クロイツェル
セブシックOp.1 No.1
セブシックOp.8
シュラディーク
ポロ

【スコアリーディング編】
縦に線を引く
外声をマークする
特徴的な施律を見つける
構造を読む

【弓順を付けてみよう】

【フィンガリングしよう】


【コラム】
「セルフ基礎練習」開発のすすめ
私見「良い練習,悪い練習」
身体が前に行くとこ,後ろに行くとこ
「リズム練習」のすすめ
阿波踊りと指揮
楽譜を作り込む(弾ける状態にする)
弓順を付けるヒント
付箋の効用
スピード製本

ガクフノイミ

皆様、お久しぶりです。 全国緊急事態宣言も解除され、いよいよ今日からウチのオケも練習を再開します。 長かったー。 さて今日は、私なりの「ガクフノイミ」を考えます。 まずは、これ。 ①は、童謡「チューリップ」の冒頭の楽譜。 私たちは、普通この楽譜をピアノ、ヴァイ...